プレス金型の寿命はどの程度なのか

2023/06/13

金属プレス加工に欠かせないプレス金型。金属プレス加工は樹脂系のプレス加工とことなり、金属板を材料とするため、その寿命が気になるところです。ここでは特にプレス金型を「寿命」という観点から考えてみようと思います。
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プレス金型のメンテナンスの時期

金属プレス加工を行う上で、製品と同時に生成されてしまうのが「バリ」と呼ばれる材料の突起です。このバリは生成と同時に金型自体を傷める原因にもなります。ですからプレス金型のメンテナンスのサイクルはこの金属バリの高さによって左右されるといって良いでしょう。

バリの生成度合いとプレス金型の素材による寿命

金型の抜きクリアランスが正しく保たれていることが前提として、金型の抜き加工部分を観察することで、およそのプレス金型のメンテナンス時期を判断できるでしょう。金型の抜きの形状が材料に対して鋭ければ鋭いほど、バリの高さが高くなります。バリの高さをおさえるには金型の抜き形状の「角」をまるく加工しておく必要があります。

素材別プレス金型の寿命 一覧

1. 超硬合金

2. 粉末ハイス

3. SKD

4. SKS

※SKD及びSKSは、「合金工具鋼鋼材」です。
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プレス金型の表面処理と構造における寿命の違い

当然のことながら、同じ素材であれば表面の処理が滑らかであるほうが、金型の寿命は延びます。その他、プレス加工を行うときの潤滑が適切か否かが、寿命に影響をあたえることは当然ですが、金型の表面におけるスクラップの処理や「カス詰まり」しやすい形状かどうかも、寿命にも影響をあたえることを覚えておきましょう。

金型の剛性ということに着目して寿命を鑑みてみると、ダイのセットや金型のガイドの設計や構造も大きな影響をあたえます。

金型のメンテナンスサイクルと寿命

金型の寿命をメンテナンスと運転そして素材という観点からご説明してきましたが、では高硬度な素材を使いプレス金型を製作し、適切な運転とメンテナンスを行えば、金型は無期限に使い続けていけるのでしょうか?

残念ながらそのようなことを行っても、プレス金型の高寿命を保つことはできても、無期限に金型を使い続けることはできません。なぜなら金型のプレートは、プレス加工を行う際にわずかではありますが、「歪み」が生じるからです。プレス金型のプレートに歪みが生じると、いかにメンテナンスを行っても新品時のような生産数を維持することはできません。もちろん、プレートやガイドに高精度な素材を使い、焼き入れ加工などの処理を行うことで寿命を延長させることはできますが、プレス加工を行うことによる金型の経年劣化は、メンテナンスや設計構造、素材選定では解決することができない問題です。メンテナンスを行っても生産数を維持できなくなれば、そのプレス金型は寿命を迎えたといえるでしょう。

まとめ

プレス加工は高精度な製品を大量にしかも廉価に製造するための手段です。また昨今は製品のサイクルも意図的に制御されていることも多いため、必ずしも高寿命のプレス金型だけが求められている訳ではありません。製品精度それにライフサイクル・メンテナンスサイクルや金型の製造/維持コストを踏まえた上で、プレス金型の寿命を考える必要があります。
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